ロレックスとポルシェはよく似ている
ロレックスとポルシェはよく似ている。
何が似ているかというと、両者が持つブランドイメージである。
世間一般に高級腕時計といえばロレックス、高級車といえばポルシェが数ある車メーカーの中から挙げられると思う。
当然フェラーリやランボルギーニやマクラーレンといった名だたる欧州車ブランドもあるのだが、フェラーリとポルシェが世界で一番いい車の代名詞に挙げられやすいのには何か理由があるのではないかと思われるが、分析はここではしない。
今回お話ししたい内容は、ただ単純にロレックスがポルシェとあらゆる点で類似しているなということだ。
世界観
まず最初にポルシェを所有している人にロレックスを所有している人が多く、ロレックスを所有している人にポルシェを保有している人が結構いたりする点である。
直接の類似ではないにしろ、所有者がみている世界観が似ていることで両者が結びつけられるという点では、間接的な、もしくは第三者が見出す世界観という点で両者は同じフィールドにいるのである。
普遍的なデザイン
そして次なる共通点として、両者デザインを大きく変更しないという点が挙げられる。
ここでいうポルシェは主に911意味する。
1963年にプロトタイプ901が誕生し、翌年1964年に911が発表されている。
デザイン面での普遍性は皆さんもすでに何を言わんとするか想像がつくと思う。
ロレックスは大きな変更を好まない。
新型モデルが登場する際は細部の微妙な変更にとどめることが多く、
「そこ変える必要あった?」
くらいな変更しかしないことも結構ある。
文字通りファンやマニアの間では、その小さな微妙な違いを重箱の隅とつつくが如く発見し、データベースとしてアーカイブに残したりするのである。
完全に男の趣味の世界であるし、そういった違いを記録してくれるコアなマニアに僕は感謝と敬意を感じている。
そして次はポルシェ。
911のデザインは車好きじゃないといつの時代のものか、何代目なのかがはっきりしない。
後ろに向かってさーっと流れるようにラインが下がっていく横スタイルと、前後からみたカエルが座っているポーズが特徴的で、この基本的なスタイルは全く変わらないし変わることはない。
ポルシェのCEOが血迷って全く別物を発表したとなるとおそらくポルシェは潰れる。
いくらSUVのカイエンやマカンが北米や中国で好調な売れ行きでドル箱的な存在であっても、911の遺伝子が崩されるようなことになればポルシェの影響力はそのまま地の深いところに沈んでいくだろう。
それくらい911には世界中の男たちの夢が詰まっているのである。
ロレックスにしても然り。
デイトナに関しては時々大きなスタイル変更がなされるが基本的には911と同じような変更率であり、世代交代しても同じ外観が続くことも多い。
サブマリーナやGMTマスターなどに関してはもはや間違い探しである。
最高の性能
最新が最善、と言われるポルシェの911であるが、ポルシェは中身の性能を高めるために相当神経を使っているメーカーである。
先程も述べたが、ポルシェを精神的な意味で牽引している車種が911であり、911がコケるとポルシェがポルシェじゃなくなってしまうのである。
例えポルシェを経済的に支えているのがSUVであろうとも、911がなくなればポルシェはブランドとしての価値を失う。
カイエンやマカン、パナメーラがコケてもポルシェは存続するが、911というブランドの心臓部であるシリーズがコケてしまうとポルシェがぽしゃってしまうのである。
例えるなら、日本の経済の中心である東京が日本でGDPを一番稼ぐ都道府県であるが、京都がなくなってしまうと日本の魂が消えてしまう感じと似ている。
屈強な村人が一番村内で力仕事をしているが、村長がいなくなってしまう感覚とも似ている。
戦隊モノで言うと、なんとかレンジャーブラックが6人目んとして存在し、とつもない強さでものすごい活躍を見せるが、レッドがいなくてはメンバーにまとまりや連帯感が生まれない。
そういう感じでポルシェの911はコアなのである。
僕が序盤に911のことポルシェと呼んでいたのも911がブランドと同義だからである。
長くなってしまったが、ポルシェが911に求める性能というのものはピカイチで、現行モデルからカタログ落ちし先代モデルとなってもなお人気が落ちないのである。
この辺りはiPhoneとも似ているかもしれない。
もはや先代、先先代であろうと、ポルシェはやっぱりポルシェだし、デザインの普遍性からも古さを感じさせない。
この点がロレックスとすごくよく似ている。
ロレックスのムーブメントも常に最高の出来であり、クオリティの高さを敢えて言及するなら、厳しい基準を設けるクロノメーター検定協会が定める基準値の2倍の精度を示したムーブメントしか市場に投入しないのである。
日差プラマイ2秒以内の誤差しか許さないのである。
であるからして、ムーブメントも新しいものをあまり作らない。
デイトナに関しては2023年に新型が登場するまでおよそ23年間同じモデルを搭載していた。
23年も同じエンジンを乗せた車なんてない。
車の新型サイクルがおよそ7、8年であるので、三世代がずっと同じエンジンを乗せている状態だ。
車メーカーであれば怠惰である。
1963
先ほども言及したが、911の全身であるプロトタイプの901は1963年に登場したのであるが、偶然にもロレックスのデイトナが登場したのも1963年である。
ポルシェ 901 プロトタイプ
ナンバープレートの青い部分の下にDの文字があるがこれは『DEUSTCHLAND(ドイチュランド=ドイツ)』の頭文字である。
その横にあるSは『STUTTGART(シュトゥットゥガルト)』の頭文字で、シュトゥットガルトはポルシェやメルセデスベンツの本社がある街である。
その横のGOと数字は自由に決められるいわゆる希望ナンバーみたいなものであるが、GOはおそらく普通にGOが使いたかっただけで、1964は901プロトタイプが製造された年であると思う。
901プロトタイプが発表されたのは1963年の9月であるのだが、これはフランクフルトモーターショーにて、である。
それから商品として販売されるまでに1年ほど有しており、1964年にお茶の間に届けられたのである。
車だからお茶の間ではないのであるが。
ロレックス 初代デイトナ Ref.6239 1963年
初代コスモグラフデイトナ Ref.6239がこのモデルであるわけだが、これが発表される1年前にはロレックスはデイトナの名前の由来となったデイトナでのレースの公式タイムキーパーとなっている。
フロリダにあるデイトナビーチでのレースがその語源である。
隠れたナンバーワン
ポルシェにもロレックスにもナンバーワンだと称えられている部分も多いが、両者ともに完全に世界のトップブランドとして確立されているわけではない。
ポルシェの上にはフェラーリやランボルギーニやブガッティなどの有名メーカーが存在する。
ロレックスの上には、パテックフィリップやオーデマピゲやヴァシュロンコンスタンタンが存在する。
他にもマクラーレンやロールスロイス、リシャールミル、ジェイコブ、ブレゲなどが名ブランドとしてあげられるし、どれを持って世界一だと断言することは難しい。
価格で格付けされているような部分もあったりする。
そんな中で、両者を隠れたナンバーワンだと称する声が多いことも事実だ。
あらゆる車に乗ってきた人が最後に落ち着くのがポルシェの911だと言う人は多い。
走ることに関する全ての能力が他を圧倒するみたいである。
ニュルブルックリンクでブレーキが腰砕けにならないのはポルシェだけだとも聞いたことがある。
ロレックスに関しても精度や耐久性、装着感、作り込み度などなど、あらゆる部分が突出して素晴らしいと言われる。
まとめ
世界最高のブランドにポルシェやロレックス以外を挙げる人もやはり数多く存在する。
フェラーリが一番だとか、パテックフィリップが一番だとか、それもある意味事実である。
ポルシェやロレックスが一番であることもまた事実である。
性能という面でポルシェ、ロレックス両者が世界で一番素晴らしいメーカーの一つであるというのも事実である。
あとはどの部分を切り取って評価するかという条件と、好き嫌いという主観的な要素のみが残るのである。
ポルシェとロレックス、なんといっても一番の共通点はとてつもなく大きな夢を与えてくれていることである。