ジェラルドジェンタ、ヨルグハイゼック・デザイナー創業の腕時計ブランド

ジェラルドジェンタ

ジェラルドジェンタとヨルグハイゼック

世の中の人気腕時計を見比べてみるとある一人の偉大なデザイナーの息がかかっていることがよくわかる。

そうジェラルドジェンタ氏である。

彼の作品は天才的で時間と共に徐々に評価されるというアンティークやワインのような生きているデザインをすることが見てとれるが今でもその価値はどんどんと上昇している。

世界三大時計ブランドのパテックフィリップやオーデマピゲ、ヴァシュロンコンスタンタンのどれもがジェラルドジェンタ氏の直接的間接的影響を受けているわけだが、歴史あるブランドというだけでは世界的に超一流になることは出来ないのである。

確かに腕時計というものは時間を計ることを目的とした機械であるわけだが、その本質を高めるための援護射撃的なものは大きく分けてもいくつか存在する。

例えばトゥールビヨンやGMTなどのようなお助け役である。

計時をより正確にそしてより便利にすることを目的とした機能であるが、これらがあることによって利便性と機能的価値が高まり腕時計の価値そのものも高まるのであるが、そういった見方をするとデザインに関しても同じことが言える。

カッコいいからという単純な理由で片付けることもできるが、時計としての価値の上昇を手助けする視覚的な助っ人がデザインであり、人間は目で見てあらゆるものを判断する生き物であるとするとこのデザインというものは意識に上がる部分だけでも相当に重要な要素なのである。

腕に装着するものといえば腕時計の他にはブレスレットなどの装飾品があるが、ジェラルドジェンタ氏はそういったものを全て同一のものと判断し、腕時計をアクセサリーのブレスレットの延長線上にある装身具として見ていたのである。

そう、ジェラルドジェンタ氏は腕時計もブレスレットも身につけてて心地よいものでなければならないという思いから人間工学的に腕時計をデザインしていたのだ。

あのようなカッコいいデザインを生み出せた理由というのが視覚的なデザインセンスもそうであるが、むしろ目では見えない部分から判断した結果からあのような素晴らしい作品が出来たということであり、そこが僕がとても驚いた部分であったわけなのだ。

見た目の美しさからの判断ではなく、機能美を追求した結果が今日のラグジュアリースポーツの根幹デザインを表現しているわけだが、そういった面で言うとロレックスの存在とジェラルドジェンタ氏のデザインは共通点があると言える。

ジェラルドジェンタ氏の腕時計に関してや、彼の作品が如何にすごいかはこのブログでも嫌というほどお話ししているのだが語っても語り尽くせない部分がある。

ジェラルドジェンタがデザインした腕時計一覧
ジェラルド・ジェンタ氏がデザインした腕時計 ジェラルド・ジェンタといえば時計界ではもはやスーパースターでありレジェンドであり、とにかく説明するのが不可能なくらい時計界に非常に大きなインパクトを与えたデザイナーである。 1931年5月1日スイ...

ジェラルドジェンタ氏が直接的にデザインし影響を与えている腕時計はこちらの投稿で確認してもらえたらと思うが、上記の記事にはヨルグハイゼックというデザイナーに関しても少々お話ししている。

間接的に影響を与えているのがヴァシュロンコンスタンタンのオーヴァーシーズであるという内容であるが、今日はこれらの両ブランドのデザイナー兼創業者である彼らの腕時計についてお話ししていこうと思う。

ジェラルドジェンタというブランド

ジェラルドジェンタ氏はオメガのパテックフィリップのノーチラス、オーデマピゲのロイヤルオーク、オメガのコンステレーション、IWCのインヂュニアなどなどその他にもあらゆる腕時計をデザインしてきた世界的な腕時計デザイナーであるが、彼がデザインしてきた腕時計はどれも高額で取引されている。

全てとは言わないし背景に歴史あるブランドがあってのジェラルドジェンタという側面もあるが、両者が違いに作用しなければなし得なかった偉業がたくさんある。

そんな彼が企業やブランドの委託を受けてのみデザインしてきたかと言えばそうではない。

実はジェラルドジェンタ氏は自身の時計ブランドを創業しており、ジェラルドジェンタらしい作品をいくつも残しているのである。

主に円形の腕時計が多い印象であるが、似ているのはブルガリのローマ、現代のブルガリブルガリのような作品である。

丸いケースと弧の途中からまっすぐ伸びるラグといったシンプルボディにレザーブレスというのがたくさん確認されるわけだが現代のラグジュアリースポーツの礎を築いた彼の作品からすればジェラルドジェンタブランドはどこかそれらのデザインとは敢えて棲み分けをしているように見えるのである。

ノーチラスやロイヤルオークのようなアクセサリーとしてのブレスレットのような作品よりもケースを強調した作品が目立つ。

こちらのモデルはIWCのダヴィンチのような作品だ。

彼の作品の特筆すべき点の一つして挙げられるのが腕時計のブレスレットの構造であるが、そこはジェラルドジェンタブランドではそれまでの委託された作品以上に力が入っている部分のように思える。

こういったシリーズのようにブルガリのオクトを思わせるようなモデルも存在しており、総合的に見ればいくつかパターンはあるが彼の作品であることが一目でわかるモデルばかりで、これらのシリーズがジェラルドジェンタブランドで発表されているのである。

そして基本的にどのモデルもとても安価に取引されているのである。

確かにデザイナーとしての力量は素晴らしいし実績で言えば世界トップレベルである。

腕時計という枠組みを超えて考えてもデザイナーが到達しうる最高レベルのところまで来ていると言えるだろう。

しかし天才的デザイナーだからと言ってブランドが大成功するとは限らないということを物語っているのが事実として残っているが、上述したようにやはりブランド力という武器があって初めて大きく飛躍するという点もあるのではないだろうか。

逆にブランド力があるからといってそれだけで良いとも限らない。

腕時計での大成功にはクオリティと外観、そして背景にあるブランド力という裏付けが必要であるというシビアな現実が叩きつけられるという事実をこのことから感じることができるのである。

しかしとは言え、ジェラルドジェンタブランドの腕時計は数十万円はする代物であるし、価値も魅力もブランド力も十分にある。

あと少しのテコ入れでこのブランドは大きく飛躍する可能性を秘めているのではないかとも思えるのである。

パテックフィリップやオーデマピゲの人気が上昇すれば自然とデザイナーの価値そしてデザイナーが創業したブランドの価値も上昇していくものだと思われるが、実際今のジェンタブランドは過去のそれより高く評価されているようだ。

そういった意味でいうと、ヨルグハイゼック氏のブランドも同様である。

知られざる名ブランド、ハイゼック

ヨルグハイゼックというデザイナーもまた腕時計業界、つまり世界に大きな影響を与えた人物である。

一番有名なのはヴァシュロンコンスタンタンの「222」というモデルのデザインではないだろうか。

ブラッドピットも愛用する222であるが、この222とはヴァシュロンコンスタンタンが誕生して222年の1977年に発表された腕時計の名前である。

オーヴァーシーズの前身になっている腕時計であるが、オーヴァーシーズよりも洗練された高いデザイン性を誇る。

ヨルグハイゼックの代表的腕時計にはブレゲのマリーンやタグホイヤーのキリウム、ティファニーのストリーメリカなどがあるがはっきり言って222やマリーン以外は「なし」である。

222があまりにもかっこいいので逆にどうしてこのようなデザインなのかがわからない。

しかし1997年にヨルグハイゼック自身が立ち上げたブランド「ハイゼック」はまた別物である。

どことなくジェラルドジェンタの影響を受けたようなデザインもあれば完全に彼独自のデザインでオリジナリティあふれるものであったりするものもある。

なかなか掴みどころがないデザインであるし、そこが非常に魅力的であるようにも感じる。

個人的にはハイゼックブランドの腕時計はタグホイヤーのキリウムやティファニーのストリーメリカなどと比べてもかなりかっこい。

ブレゲのマリーンのデザイナーであることも有名であるが、確かにハイゼックの時計にはブレゲっぽい部分もあったりする。

どこか機械的でありマシーナリでありながらも感情がこもっているような、そんな感覚の腕時計が多い気がした。

それでもまだ「222」を超えるデザインはなかなか見当たらないがジェラルドジェンタもそうであったようにノーチラスとロイヤルオークを超えるデザインはなかなかない。

まとめ

というわけでまとめであるが、僕はこれらのブランドが過小評価されているのではないかと思っている。

世界的な名品をデザインしてきた両名のデザイナーだが、ノーチラス、ロイヤルオーク、オーヴァーシーズ、マリーンをデザインしてきたデザイナーのブランドの時計が100万円以下というのはなかなかお買い得というか過小評価されているというか、なんとも腑に落ちない部分はある。

確かに内蔵されている機械や造りのクオリティなども影響するのだが、彼らがデザインしたものは実際どれもオリジナルのブランドであることからデザインに制約がないという点で非常に彼らしさを感じるのである。

2015年、パテックフィリップの元祖の創業者であるフランチシェックチャペックのスピリットを残すべく彼の名を冠した新たなブランドが立ち上がったわけですが、価格帯はもはや数百万円にもなっている。

パテックフィリップがパテックチャペックであった頃の共同創業者で、パテックフィリップになる前にアントニパテックと志を同じくしていたわけであるが、その精神が現代に蘇り高く評価されているのが価格にも反映している。

そういった面で言うと、ノーチラスやロイヤルオークなどの超一級品を残したジェラルドジェンタの作品はもう少し高く評価されても良いと思うし今後はそういう流れにもなる可能性があるのではないかと思っている。

まだ存命であるヨルグハイゼック氏の時計ブランドに関してもそうだ。

彼がデザインする腕時計は他では絶対に見られないし、実績で言っても申し分ないほどの歴史を残している。

確かにブランドの制約があったせいなのか、あまりよろしくない作品もあったが、それはジェラルドジェンタとて同じである。

しかし「222」はかなりの名デザインであるし、ハイゼックブランドも全体としてすごく良い。

これら両デザイナーのブランド価値がもっと高く評価されることを願うばかりだ。

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