現行と先代エクスプローラーIの変遷・36ミリ、39ミリ、40ミリ、ロレックスのサイズ戦略

エクスプローラーI

エクスプローラーIの変遷を時系列で追っていく

ロレックスは腕時計のスタイルを大きく変えないことでも有名だ。

それには非常に大きなメリットが存在していて、デザインやスタイルが時代によってコロコロと変わらないということは流行り廃りがないということになる。

モデルチェンジにしてもマイナーチェンジにしても一貫してベースとなるデザインを踏襲し続け、数十年前のモデルと見た目があまり変わらないモデルがロレックスにはたくさん見受けられるわけだが、他にこういったブランド展開している企業がポルシェである。

911のベースデザインはあまり変わっておらず911といえばあのカエルのようなデザインが最大の特徴であり人々を惹きつける最大の顔となる部分なのである。

ロレックスとポルシェの関係、共通点とは?・デイトナと911を比較する
ロレックスとポルシェはよく似ている ロレックスとポルシェはよく似ている。 何が似ているかというと、両者が持つブランドイメージである。 世間一般に高級腕時計といえばロレックス、高級車といえばポルシェが数ある車メーカーの中から挙げられると思う。...

こちらの記事でも紹介しているが、ロレックスとポルシェがなぜ人気なのかという点もそのことについて触れているので興味があればぜひ一読いただきたい。

今回お話しする内容はロレックスのエクスプローラーIのことである。

エクスプローラーIもロレックスの時計哲学、デザイン哲学の例に漏れないシリーズであり、一見するとどの世代のモデルかの判別がほぼ不可能なくらい世代ごとのモデルがよく似たシリーズだ。

今回お話しするエクスプローラーIの直近の4モデルの動きを見ると現代の腕時計がどのような感じで捉えられているのかがわかると同時に、硬派で硬い印象のあるロレックスも市場の動向を気にしているのだなということがよくわかっていただけると思う。

というわけで簡単ではあるがエクスプローラーIの動きを見てみよう。

エクスプローラーI Ref.114270 36mm 2001〜2010

まずはこのモデル。

Ref.114270というリファレンスを与えられたモデルで、2001年から2010年まで製造販売されていた36ミリの一本。

当時はまだ36ミリのエクスプローラーIが主流で、1990年から2001年まで製造されていたこのモデルの先代にあたるRef.14270も36ミリというサイズであった。

2000年代に入ってもエクスプローラーIはずっとこのサイズ感が人気の理由であったと見え、芸能人や著名人がこぞってエクスプローラーIを所有していた印象だ。

特にイケメンと呼ばれる部類の男性が多く所有していたわけだが、このリファレンスモデルに限らず小ぶりのエクスプローラーIはキムタクがドラマで着用していたことも相まってとても人気があったシリーズである。

36ミリのサイズ感とシンプルなスポーツウォッチというのが世間受けしていたのだ。

エクスプローラーI Ref.214270 39mm 2010〜2021

2010年になって、Ref.114270の直系の後継種とずっと思われていたRef.214270が登場。

時代の流れに乗って大型化したエクスプローラーIを投入したわけだが、36ミリから39ミリへの変更はものすごく大きな変化である。

見た目はもちろんのこと、つけ心地や重さなどもこれまでのエクスプローラーIとは違った腕時計に仕上がっていて賛否両論あったはずである。

何度も言うがエクスプローラーIの良さの一つはその36ミリというやや小ぶりのボーイズサイズのサイズ感であり、服装を選ばず取り回しが効きやすいという点でも実用性がかなり高い腕時計であった。

そこに流行に後押しされてか大型化したエクスプローラーIを投入したものだからこれまでのエクスプローラーIの一部のユーザーからはやはり反対意見もあったようである。

個人的には36ミリのエクスプローラーIと39ミリのエクスプローラーIは別物の腕時計と捉えている。

同じようなデザインであっても3ミリも違えばかなり多くのことが違うであろうし、装着している時の感覚からも別物の腕時計といったように思えるのではないかと思うのだ。

エクスプローラーI Ref.124270 36mm 2021〜

そしてなんと、ここでロレックスらしくないことが起こる。

一度大型化したモデルを世代交代と同時にもう一度小型化したことである。

ロレックスもその他のメーカー同様、いくつかのモデルを大型化して世界の流行に少しだけ乗っかっているわけだが、ヨットマスター42が登場したり、エクスプローラーIIを2ミリ大きくしたり、ヨットマスターIIに限っても44ミリという大きなサイズで発表している。

大型化は避けて通れない腕時計メーカーの宿命のようなものであるが、今回お話ししているエクスプローラーIのように一度大型化したものを小型化するといったことはロレックスの他シリーズのみならず他メーカーの腕時計を見てもほとんど例がない。

ロレックスがこのようなことをする理由は一つしか考えられない。

そう、36ミリのエクスプローラーIの方が人気が高かったからだと考えられる。

これまでずっと36ミリでモデル展開され、あらゆる有名人が愛用してきたエクスプローラーIのサイズが36ミリで、ロレックスの中でも珍しく小ぶりのサイズ感が楽しめるのがエクスプローラーIの36ミリだったのである。

デイトナも40ミリ、サブマリーナも40ミリ、GMTマスターIIも40ミリ、エクスプローラーIIも42ミリ、ヨットマスターもヨットマスターIIも40ミリ以上。

そこに36ミリというサイズ感のエクスプローラーIがあれば当然小さなロレックスが欲しい人はそこに目が行くはずである。

それか生産終了した34ミリのエアキング。

34ミリだと小さすぎると言う意見も多いだろう。

そうなれば36ミリの希少性が失われることはロレックスにとっても大きな損失になるということが考えられるが、時代の流れに逆らってまで一度大型化したサイズを小型化するのにはやはり大きなメリットがあったと考えるのが妥当なのではないだろうか。

36ミリ -> 39ミリ -> 36ミリといったサイズの変遷である。

これがエクスプローラーIの大まかな流れであるが、ここからロレックスがまた一つ新しいモデルを投入したことをお話ししなければならない。

エクスプローラーI Ref.224270 40mm 2023〜

そして2023年。

ロレックスは新たな動きを見せる。

これまで36ミリのref.124270が新型モデルとしてエクスプローラーIの直系の最新機種という形で認識されていたのだが、39ミリの後継種としてRef.224270を発表したのである。

39ミリを1ミリほど大きくし40ミリという他のスポロレとサイズ合わせした形だ。

2021年に発表されたRef.124270はそのまま存続させ、36ミリと40ミリの二本立てでモデル展開している事になる。

エクスプローラーIには小さいサイズを好む層がいたとお話ししたたが、当然大きなサイズを好むファンもいたはずだ。

実用性のある36ミリモデルとインパクトのある大きめなケースを持つ39ミリモデル。

これら両モデルには一長一短メリットとデメリットが存在していて、どちらが良いかというのは完全に用途や好みによるものである。

そこでロレックスが取った戦略というのが両方のモデルを現行モデルとして発表すること。

この戦略は僕も賛成である。

どちらがいいか決められない性分の人にとっては悩む種になりうるが、腕時計はサイズ感という要素が購入を決める理由に大きな影響を与えるため二つの大きさを用意することはユーザーにとっても理にかなっていると言えるだろう。

まとめ

という感じでエクスプローラーIのサイズの変更に関して追ってみたわけだが、あくまでも推測の域を出ないのであるがサイズ感が人気に与える影響を考えてみた。

推論とはいえ、硬派なロレックスが展開するサイズを時代の流れに逆らってまで36ミリに再び戻したということは注目に値する変更なのではないだろうか。

大きな腕時計が良しとされる大きな流行に対し一度はそれに乗ったものの、考えを改めてかサイズを前の36ミリという一回り小ぶりな大きさに戻しているのには何か理由があるはずであり、そこには需要という大きなベンチマークがあると予想される。

一度大型化したエクスプローラーIにも既存ユーザーの需要と新しい層の需要が生まれたはずで、別モデルとして40ミリのエクスプローラーIを登場させたのもそういった層を無視できなかったからなのではないかと思っている。

僕の予想では、2021年に36ミリサイズのモデルをRef.124270というリファレンスで発表した時に40ミリサイズはすでに発表する手筈だったのだと思っている。

そうでなければRef.214270の後はRef.224270ということになると考えられ、新型であるにもかかわらずあえてリファレンスの最初の2を1に戻している時点で1は36ミリ、2は39ミリ(大きいモデル)という区分けをしていたのではないかと思えるのだ。

話がややこしくなってきているが、要点を掻い摘んでまとめると、

36ミリのエクスプローラーIを大型化の流行に乗って39ミリに設計したが36ミリの需要がとても多いので36ミリに戻す。

39ミリは39ミリでまた安定した需要が見込めるので他のスポロレにならい40ミリとして別ラインも登場させる。

今後36ミリと40ミリの二本立てでモデル展開していくという寸法だ。

ここではお話ししていないが、Ref.124273といった36ミリのイエローゴールドとのコンビモデルなどのような派生モデルも他に登場する可能性もあるだろう。

しばらくは2サイズのステンレスモデルをベースに派生モデルも含めながらバリエーションが維持されるかじわじわと増えていくのが主流になるのだろうという感じだ。

というわけで、エクスプローラーIの動きから人気サイズやロレックスの動向を推測してみた。

タイトルとURLをコピーしました