パネライはなぜ人気がある?
パネライがなぜ人気なのかは疑問に思う人も多いと思う。
なにせパネライはダサいという意見も多数あるからだ。
パネライは確かにシャープでドレッシーな印象を与える腕時計ではない。
一瞬でゴージャスさを感じさせる腕時計ではないかもしれない。
しかしパネライの素晴らしいところは、他には真似できないその存在感そのものであると言うことができる。
パネライの腕時計には所有を主張するという、腕時計そのもののみではなく着用している全体像として魅せることが出来るという側面が武器になっているのではないかと思う。
一歩外れて世間を見渡すといった、ファッションでいうと服そのものを見るのではなく着用した姿を鏡で見るというような全体像を把握して判断するという使い方である。
第三者の目で大局観視点で傍観することでパネライの良さがわかってくるのである。
舞台役者は顔が大きい方が良いと言われるのをご存知だろうか?
顔が大きい方が観客からよくわかるからである。
視認性と存在感という面でパネライは舞台役者のような存在なのである。
存在感という面でいうとルミノールはそんな感じであるが、デザイン面でいうとパネライは可愛いしシンプルでミニマリスティックな文字盤をしていると思う。
リューズガードのような少々邪魔になりそうな大きな物体がケース側面に装備されているのもパネライを人気・不人気と二極化する理由の一つであると思うが、先述したように存在感という面に大きく寄与したデザインであるのだ。
後述するが、機能面でもそのリューズガードは役に立っており、ルミノールをルミノールたらしめる最大の個性である。
デザインに戻るとするが、ケースの形状も独特で特徴的であり、パネライのそれだと一目で判断できるのも所有者として嬉しいのである。
せっかく高額な品を購入しているのであるから、どこそこブランドだということは不特定多数の人に気づいてもらいたいわけであ。
そういう面でいうとデカ厚が基本コンセプトとなっているパネライは胸に大きくGUCCIと書かれたプルオーバーを着ているのと同じ意味がある。
腕時計は小さいわけで、ブランドを知らしめることはなかなかに出来ない。
グッチの服やルイヴィトンのカバンを持ち歩くよりも気付かれにくいのが腕時計を主張したい人が考えるデメリットであるが、パネライはそこをうまく解決しているのである。
実用性ということも忘れてはいけない。
パネライのルミノールの人気の一番大きな理由はここにあると思う。
発光力がすごく、インデックスの夜行塗料が他と比べ群を抜いてすごいのである。
パネライをルミノールの文字盤を二層構造で作っている。
一層目を夜行塗料を塗った層がありその上に文字をくり抜いた文字盤を載せ、夜行塗料の層が思いっきり発光しているのがその特徴であり夜の視認性を高めるのである。
サンドイッチ文字盤と呼ばれる所以がここにある。
文字盤自体を二層構造にすればそりゃ時計は分厚くなるが、パネライは重量や大きさを度外視し視認性という点に絞った時計作りをしているのである。
重くてもいいし大きくても良いからとにかく見えやすい腕時計が欲しいという需要は必ずあるし、実際にたくさんあってそれが今日のパネライの人気を作っている。
この実用主義の考え方はロレックスにも大きく共通する部分である。
実用性の方向性は多少違うが、両者はともに作業効率を上げるために日夜努力しているブランドであり、自社のコンセプトを貫いた結果がそれぞれ違った支持層ではあるが人気を集めるに至った理由なのである。
実際重複しているファン層も多いのも事実である。
ロレックスファンにパネライファンは結構多いが、実用面での評価がやはり高いのではないかと思う。
そして両者はどちらもダイバーズウォッチに力を入れていた/いる。
ロレックスはデイトナは今でこそ主流モデルで一番人気のモデルになっているが、元々サブマリーナの方が10年も前に誕生していたのである。
両者軍事目的で改良を重ねて育っていったという共通した過去があり、哲学的に似た思考を持っている両ブランドであるからして、パネライが人気を集めることはなんら不思議はないのだ。
赤西仁愛用 ルミノール マリーナ パワーリザーブ Ref.PAM00123
パネライを愛用していた芸能人に赤西仁さんがいる。
何かのテレビ番組で着用していたのをSNSの切り抜きなどで拝見したことがあるが、あのようにおしゃれでかっこいい人物がパネライを着用しているとなるとやはり欲しくなったりするものである。
以前木村拓哉さんの腕時計について言及したことがあったが、まさにそれだ。
さて、赤西仁さんの腕時計に戻るとするが、彼が着用していたのはPAM00123と呼ばれる左利き用の一本であるが、彼は左腕に着用しリューズが手の甲に当たらないような着用の仕方をしていた。
一般的に左利き用とされる腕時計はパネライではデストロと呼ばれ、イタリア語で右を意味する言葉なのであるが、赤西仁さんのように左利き用の腕時計を左側につけるという使い方もあるようだ。
一般的には右利き用の腕時計が圧倒的に多く、右利き用を右腕に着用する人は実は結構多い。
どうしてこのような付け方をされていたのかは分からないが、上述したようにルミノールのリューズガードはリューズを守るためには最高の構造をしている分邪魔にもなりやすいという欠点があるわけで、話題作りが目的でなければ手の甲に当たらないようにしていたのが一番納得できる理由である。
確かにリューズガードは邪魔にはなりやすいが、実用面を第一に重視するなら使い勝手よりも壊れないことが何より優先されるべき事項である。
赤西仁さんのパネライの使い方は実際とても賢いように思える。
パネライは左利き用のデストロモデルをかなり早い段階から生み出してはいるが、同社の中でもやはりまだ種類は少ない。
ほとんどがリューズガ右側についた右利き専用の腕時計であるから、リューズを手の甲に当てないように左腕につけようと思うならデストロモデルを使うしかないのである。
左利きの人が右利き用の腕時計を右腕につけることはよくあるし、右利き用の腕時計が圧倒的に多いわけであるからそれは仕方ない。
赤西さんのやり方はそれの逆の発想であり、パネライの特にルミノールゆえの解決策なのであろうと思う。
となるとすると、IWCのビッグパイロットも左利きようのモデルが登場するべきである。
と思ったらすでに存在していた。
この件に関してはまたIWCのカテゴリでお話ししたいと思う。
そのようなわけで、赤西仁さんの着用の仕方を見てもパネライというブランドは、他とは違った切り口で実用性を重んじたコンセプトを根幹に腕時計という存在を見ている。
まとめ
というわけでまとめであるが、
パネライがロレックスと共通する部分はまさにその実用面で、見てくれの良さだけで選ぶのであればもっと他に有名になったであろうブランドはいくつも存在する。
しかしパネライなどのような、ダサいとか不恰好と言われたりするような腕時計がこうも人気を集め高額になっているのは、ユーザーがしっかり内面のクオリティを重要視している結果に他ならない。
人間に例えると最もわかりやすいことだと思う。
見た目の良さのみを追求するルッキズムや外見至上主義に囚われない人気というものは永続するものである。
中身の良い人間は外見もよく見えるようになるわけであるが、それは皆さんも経験したことがあるはずだ。
『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』という有名な言葉がまさにその逆を意味している。
実際僕はパネライの腕時計はかっこいいと思っている。
実用性に気付く前から、パネライの無防備であるがインパクトがある外見に初見で惹かれつつあった。
パネライのルミノール実際可愛いし、ラジオミールはルミノールのかわいさを引き算してアンティーク調にしたような外観を持っている。
特徴がありすぎるブランドとしてもパネリスティの注目を集めているし、パネライがたった2モデルのみでモデル展開しているという点も非常に面白く話題性があると思う。
なぜなら同じブランド内に2つしかシリーズが存在しないなら、君はどっち派?といった派閥を聞いたりする会話ができるからである。
現在のパネライではルミノール派が圧倒的に多いと思われるが、その熱量に負けないくらいの熱いエネルギーがラジオミールファンには宿っている。
パネライが人気なのは冒頭でも述べたが、やはり面白いのである。
他にはないスタイルのデザインと、他にはない実用面での機能性など、それらが融合し、唯一無二の価値を生み出している点が高く評価されているのだ。