どうしてノーチラスの価格はこんなにも高騰しているのか?
パテックフィリップの腕時計はもはやこれまでの常識では考えられないくらい高額になっている。
イメージとして、
家 > 車 > 時計
という順序で値段は小さくなっていくイメージである。
これまでの常識で言えば。
しかし現在の目まぐるしく変化する世界では、家だからこのくらい、車だからこれくらい、時計だから、といった型にハマった値付けが通用しなくなっているのである。
どうしてこのような事態になっているのか。
パテックフィリップのノーチラスが世界の腕時計業界の動きを色濃く反映しているので例に出すと一番わかりやすいのだが、パテックフィリップだからという個の理由も存在するのである。
今日はなぜパテックフィリップのノーチラスがまさに家を超える価格で取引されているのかをざっくりとお話ししたいと思う。
ステータス
まずはその一番の需要であるステータスウォッチの頂点であるということが挙げられる。
パテックフィリップと言えば世界三大時計ブランドの一つであり、その中でも一番各式が高いブランドとしても認知されている。
いわゆる、世界一の腕時計メーカーなのである。
リシャールミルやジェイコブなどの新しいメーカーたちがパテックフィリップの平均価格を超えていたりするが、世界を代表するトップブランドとして認識されているのはやはり歴史やこれまでの歴史的偉人の数多くがパテックフィリップを愛用してきたという事実も考慮されているはずだ。
シャールミルやジェイコブが将来的に格式ある時計ブランドの一つとして認知されるのは時間の問題であろう。
技術力
パテックフィリップの腕時計作りはとてつもない技術力を要する。
文字盤、ムーブメント、ケース、あらゆる複雑な工程といくつもの特許技術が代々受け継がれ、精度や仕上げなど他社に真似できないノウハウや技術が必要とされる。
超一級の職人が揃っており、コンプリケーションなどの複雑機構を搭載したモデルなどは世界に数人ほどしか修理できないほど複雑であったりと、コンセプト的な限定ウォッチなどが一般価格に反映していたりするのである。
一般的に市場に投入されるカタログモデルでもなかなか手に入らない上に、コンプリケーションのような世界限定何本といったようなモデルはもはや選ばれた人間しか手にすることが出来ない。
そんな希少性なども相まってパテックフィリップの価値は常に上がり続けているのである。
限定性
パテックフィリップのブティックでは、一モデルにつき一人という制限がかけられている。
一モデルに対し一人しか購入できない割り当てがされており、例えばノーチラス5711/1Aが欲しいと思えばそのモデルは一機しか買えないのである。
カラトラバを追加購入することは出来る。
といった具合だ。
なぜこのような制度を作ったのかというと、転売ヤーから買い占めを防ぐ目的でこのような仕組みが導入された。
購入の際、パテックフィリップのブティックはその商品の保証書を店側が預かることにしている。
保証書付きで販売することが出来なくするためだ。
保証書がなければ転売する数も理由も圧倒的に減少する。
ただ、そうなると市場に出回る数が減ってしまうのではないかということも考えられるが、その辺りのことは未知数である。
供給不足
あらゆる世界情勢の影響で供給が追いついてないそうだ。
需要に対する供給を締めているのであろうと思う。
需要に対し通常通り供給してしまうより、無くならない需要をある一定の太さで維持するマーケティングが行われているのではないかと思われるが、ロレックスに関しても同じ感じなのではないかと思う。
投資目的
投資目的の購入が果敢に行われている。
パテックフィリップのノーチラスやオーデマピゲのロイヤルオーク、そしてロレックスのデイトナはもはや個人所有よりも買って頃合いを見てから売買すれば確実に儲かるような流れが出来ているので、短期、中期、長期で保有して販売しようとする投機筋投資筋の買いが入っているのではないかと思う。
その証拠に、ある特定のモデルのみ価格の上昇具合が以上に加速度的に伸びていて、上記の3モデルはそれがとても顕著である。
5711の今後・まとめ
以上の理由からパテックフィリップのノーチラスの価格は以上なまでに伸び続けており、将来的にインフレや円安なども相まってじわじわと高額になっていくのではないかと思う。
日本の経済状況によっては円高に触れた場合一定期間は横ばいで推移するかもしれないが、基本的には全ての価格は上昇していく見込みである。
腕時計全体の価格が底上げされオーデマピゲやロレックスなど超人気の時計メーカーでも同じような状況に見舞われているわけだが、
オメガやパネライ、ウブロやIWCなどの高級ではあるが、三大時計メーカーやロレックスなどの弩級の高級ブランドではないメーカーではその上昇率はだいぶ緩やかである。
パテックフィリップはパテックフィリップでも、カラトラバなどのクラシックなドレスウォッチは価格の上昇がこちらも緩やかであり、投資目的での買いが入ったのは主にスポーツタイプのラグジュアリーウォッチが顕著だと言える。
例えば今回のテーマとなっているノーチラスのステンレスモデルの5711/1Aなどは良い例だ。
オーデマピゲのロイヤルオークなんかも、もはや簡単には手が出ない価格帯になっている。
2024年3月現在でいうと大体オーソドックスなステンレスモデルで500万円くらいだろうか。
ノーチラスの大体1/3くらいといった感じ。
そして三大時計メーカーには入ってないが、高級スポーツウォッチの代名詞とも言えるデイトナもすごい価格になっている。
現行、ステンレスベゼルのRef.116500LNはすでにロイヤルオークと肩を並べる価格帯になっており、数年前の価格バランスがだいぶ変わってきているように思う。
ロレックスの人気はバブルなのか、ロレックスの時計作りの真髄が評価されそれが定着しているのかは定かではありませんが、五大時計ブランド+1の1の部分として数えられそうな勢いでロレックスの世界的な市場価値が上昇しているように思う。
なんならもうすでにブレゲやランゲ&ゾーネよりも高い価値を見出している人が大半なのではないかと思う。
深い歴史と伝統か1世紀越えたばかりだがとてつもない精度を誇る超人気ブランドか、なかなか面白い戦いではある。
さて話が逸れてしまったが、市場全体がラグジュアリースポーツを重宝していることは分かったのですが、ノーチラス5711/1Aの価格高騰はそれだけではないのです。
5711/1A、つまりステンレスモデルのノーチラスは2020年に白文字盤のモデルが、翌年2021年に大人気ブルーダイヤルモデルが現行モデルではなくなるという理由から、さらなる価格高騰をみせたわけだ。
青ダイヤルモデルの大ファンである大勢のノーチラスファンはショックだったに違いない。
1976年から続く大人気モデルのノーチラスですが、2006年から製造されていた5711シリーズは時代の終焉を迎え、それまで製造されていたものが一気に高値と上昇していったわけだ。
ラグジュアリースポーツのライバルモデルであったオーデマピゲのロイヤルオークと比べ価格差を広げた形になった。
エクストラシンを除いて。
ロイヤルオークのエクストラシンに関してはまた後日投稿するつもりだが、エクストラシンはノーチラスとなかなか良い価格競争を行なっている。
ここでいう価格競争はどちらが高いかという真逆の勝負ではあるのですが、ノーチラスを相手に唯一奮闘しているのがこのロイヤルオークのエクストラシンなのだ。
この関係性はどことなく、悟空とベジータに似ている。
ノーチラスが悟空で、ロイヤルオークがベジータだ。
どこまで行ってもノーチラスの人気には追いつけない。
近いところまで行くがなかなか超えることができない感じ。
ロイヤルオークファンにとってはより安く購入できるので、ノーチラスを打ちまかしては困るわけですが、すでに所有している側からするとノーチラスの人気を超えて早く2000万円の大台に乗って欲しいはず。
さて、そんなわけでノーチラスの人気が市場のラグジュアリースポーツへバブルと、もう新品は手に入らない=個体が減っていくという市場原理によるものだということがわかったわけだが、これからノーチラスの価格はいったいどうなっていくのだろうか?
個人的な見解を述べるとすると、緩やかに上昇していくものと見ている。
もちろんそうならない可能性もあるわけだが、腕時計投資がフィーバーしさらにこれらが度を越した人気を誇るモデルであることを考えると個体数がどんどん減っていくと思われ、一旦は落ち着く可能性はあるが一度落ち込んだ後じわじわ今の相場を超えるのではないかと思っている。
数年という短いスパンではなく、もうちょっと長い5年10年、またはそれ以上の中長期でのことであるのですが、ステンレスモデルがポールニューマンデイトナのように5000万、1億、と桁数を超えていくことも十分に考えられる。
ジェラルドジェンタ氏がデザインした天才的デザインのノーチラスの芸術的美しさもその価値に大きく寄与していることは言うまでもないが、ノーチラスは本当に美しい腕時計である。