ワインレッドな粋なダイヤル
機械式腕時計にはある一定の流行というものが存在する。
ここずっとラグジュアリースポーツという大きな潮流があって、その中にさまざまな細々した流行があったりする。
例えば文字盤。
ここずっと青い文字盤が流行しているが、青文字盤でラグジュアリースポーツ、という組み合わせになると価格が一気に跳ね上がるのである。
これまで腕時計というものはずっと白か黒の文字盤というのが一般的で、パネライ自身ずっとそれらの色を採用している。
当然流行に乗って青文字盤を生み出したりはしているが、今でもパネライは黒文字盤が一番の主流モデルであり、一番人気なのはやはり黒文字盤なのである。
そこが少々面白い。
というのも、パテックフィリップのノーチラスやオーデマピゲのロイヤルオーク、ヴァシュロンコンスタンタンのオーヴァーシーズなどのフラッグシップモデルは皆、これまでの白や黒の文字盤に変わってブルーダイヤルモデルが人気をかっさらっていったからである。
これがラグジュアリースポーツの人気の特徴の一つなのかと思ってしまうわけで、各社ブルーダイヤルのステンレスブレスモデルないし、レザーorラバーストラップモデルを登場させるのはその人気に乗っかろうということだからであるが、
堅物ロレックスはその流行にはがんとして動こうとしないのである。
そこがまたカッコいいのではあるが。
パネライはここ数年変化している。
ルミノールドゥエというルミノールでは薄型タイプものが登場したし、それに伴いあらゆるカラーバリエーションを用意してきた。
いわゆる多様性というやつだ。
あらゆるニーズに対応するための、おそらくレディースや若い層を取り込むためのオシャレなモデルを投入してきた感じである。
そして2024年にパネライが発表したのが、ルミノールドゥエの新カラー、バーガンディダイヤルである。
バーガンディ、要するにワインレッドの洒落た文字盤がセットされた薄型ルミノールが登場し、腕時計界に華やかなる一本を投入したのである。
パネライの腕時計は一見子供っぽいように見える。
そのまるまるとした形状と、これまた丸っこいインデックスから、どことなく女性らしさや無邪気な印象を与える。
しかしルミノールにはそのイノセントな感じを吹き飛ばすだけの存在感があり、素材や作りの質の良さから高級感をこれでもかと感じさせてくれるという側面も持っている。
今回登場したバーガンディダイヤルの一本PAM01424もそれを助長させる感じである。
多くの機械式腕時計は大人っぽさに若干の可愛さのようなスパイスがブレンドされている感じだが、パネライは逆のアプローチをとっている。
外見や存在はなんとなく可愛い。
しかしその可愛さの中に凛とした強さや大人っぽさ、そして男っぽい荒々しさというものも感じられ、モデルによってはダンディな雰囲気も醸し出しているものもある。
腕時計の顔といえば文字盤であるが、今モデルの顔であるワインレッドのダイヤルがそのダンディズムを表現していると言える。
ヴァーガンディルミノールのスペック
気になるスペックはというと、
Ref.PAM01424
ケースサイズ : 42ミリ
ケース厚 : 10.7ミリ
ケース素材:ポリッシュスティール
ムーブメント:Cal.P.900(72時間稼働、自動巻き)
といった具合。
ルミノールの一般的なスペックである。
ということは安定性は抜群ということだ。
あまり特筆するべきところでもないが、72時間のパワーリザーブというところも嬉しい。
特筆するべきところではないと言えど、それはパネライの中ではということであって、他社の通常モデルと比べるとやはり何割か長い時間稼働する能力を有している。
パネライは近年マニュファクチュール化し自社でムーブメントなども製造していて、ブランド全体で長めの稼働時間をコンセプトの一つとしている。
パネライの2024年新作モデルを紹介している動画もあるので機会がある時にでも観てていただければと思う。
まとめ
こちらで2024年の新作ラジオミールも紹介しているのだが、ウォッチズ&ワンダーズ前にパネライはなかなか味わいのある文字盤モデルを用意してきた。
なんというかどちらも渋い。
ワインレッドとオリーブグリーンだって?
どちらもおしゃれな晩酌として嗜むものじゃないだろうか。
どちらもイタリア人が好みそうな嗜好品であり、ワインといえばフランスであるがイタリアのワインもまた違った美味しさや特徴があるわけで、オリーブなんてイタリアの十八番である。
となるとすればそういった色にも敏感なのは当然なわけで、今回パネライが用意したカラーリングにはやはり意味があるのだと考える。
例えば日本人が桜ピンクと銘打った新しいカラーを何かの商品に投入したとしよう。
今まで白や黒しかなかったプロダクトであれば新しい色が登場するということですでに話題性があるが、それに加え桜ピンクといううっすらほんのりピンクの色にわれわれ日本人は反応してしまうに違いない。
金閣寺ゴールドや侍ブルーなど、好きの度合いはあれどやはり幾らかは反応してしまうものである。
そういった意味でもパネライが発表した今年の新作ルミノールやラジオミールには食文化と色という意味で魂が込められたんだなということを感じた。
こちらではウォッチズ&ワンダーズで発表された新作モデルについて紹介しているわけだが、やはり見本市前の新作とは趣が違う。
同じブランドでもテーマとしているものが違うとこうも見せる顔が違うのかと驚かれることだろう。
そういった意味でウォッチズ&ワンダーズで発表されたモデルとそれ以前の新作を見比べるのはあらゆるメーカーでまた空気が違っていることに気づくであろう。
時計の楽しみ方は無限大である。