ディスコンになっているサブマリーナはどれ?
サブマリーナの新型が刷新された2020年。
当時はパンデミックの影響でオンラインでの発表のみとなった時計界にとっては味気ない一年であっただが、ロレックスファンにとってはそれを吹き飛ばす印象的な一年だったに違いない。
ロレックスの新作発表は毎年ものすごく注目が集まるイベントとして知られているが、新型モデルが発表されるとなるとイベントやロレックス界隈はさらに活況に見舞われるのである。
マイナーチェンジであることが多いのであるが、ごっそりと世代交代したり新しいモデルが誕生した時なんかはクロノトリガーの千年祭のような熱狂ぶりなのである。
2020年に新型のサブマリーナが登場した際には、グリーンベゼルも同時に発表され、それと同時に116610LVはお払い箱になったのである。
お払い箱といってもロレックスに関しては社長をクビになったわけではなく、会長職に移動したという表現に近い。
カタログ落ちしてディスコンになったモデルは希少価値が生まれ、高くなっていくのである。
さて、そんなわけで今日は廃盤になったサブマリーナグリーンを見ていく。
といっても2モデルしかない。
サブマリーナ グリーン 初代 Ref.16610LV
製造期間 : 2003 – 2010
文字盤 : ブラック
ベゼル素材 : アルミニウム
ムーブメント : Cal.3135
ケース厚 : 12.5mm
定価 : 630,000円
サブマリーナ グリーン 2代目 Ref.116610LV
製造期間 : 2010 – 2020
文字盤 : グリーン
ベゼル素材 : セラミック
ムーブメント : Cal.3135
ケース厚 : 13mm
定価 : 898,700円(製造期間の間に定価は上昇する傾向にある)
これらが廃盤となったモデルである。
そう、まだグリーンサブは3代目で、過去に2モデルしか廃盤になっていないのである。
簡単にグリーンサブのおさらいをするとこういうことだ。
サブマリーナが誕生したのは1953年。
当時まだ戦後間もない頃で、世界中ではダイバーズウォッチの必要性を多分に感じていた時代である。
デイトナが登場したのが1963年で、007が映画化されたのもちょうどその頃1962年頃だ。
当時ジェームズボンドはサブマリーナを着用していたわけであるが、軍事的、スパイ目的の用途にサブマリーナはもってこいだったのである。
そして時は経ち、2003年、ロレックスはサブマリーナ誕生50周年を記念して緑色のベゼルを持つモデルを作ったわけだが、これがなんとも通常のブラックモデルを凌ぐ人気になっている。
なぜなのかはこちらの記事で書いてるのそちらを読んでいただきたいが、ロレックスとしては結果オーライである。
さて、そんなわけでサブマリーナの廃盤モデルを見てきたわけであるが、当然の如く価格も高騰していると思ったら実際はそうでもない。
こちらで新型グリーンサブ Ref.126610LVの最安値について言及しているが、ざっと見て240万円ほどだ。
それに対し、初代Ref.16610LVが210万円、 2代目が270万円とどの世代も大きな差が出ているとは言えないのである。
どうして球数がまだ多そうな2代目の方が高額なのかはおそらく文字盤の色にあると思う。
初代、3代目と文字盤がブラックダイヤルになっているのであるが、2代目に限っては文字盤までもグリーンな仕様になっている。
要はロレックスファンはどこに希少性があるのかを具(つぶさ)に観察しているのである。
後述するが、グリーンサブ3世代の中で一番に300万円に到達するのは2世代だと思われるが、個体によっては既に同世代のデイトナ Ref.116520の中古価格を追い越している。
それほどまでの人気であると言えば分かりやすいであろうと思う。
サブマリーナがデイトナの価格を超える、そんなことがあっても良いのだろうか、と一世代前の方なら思うであろう。
僕も思っている。
ロレックスのシリーズを世代別モデルごとに見てみるとあらゆる特徴があって面白い。
5代目デイトナの価格を追い越す2代目グリーンサブ
サブマリーナは結構奥が深い。
ロレックスのマーケティングが考える戦略というものがサブマリーナの世界をよりディープにしているわけであるが、絵画のように想像を掻き立てられるのである。
サブマリーナのグリーンサブの人気は以前にお伝えしたばかりだ。
ディスコンとなって価格変動が起こるわけだが、新作モデルの仕様によって旧作の価値が影響を受ける。
サブマリーナの中でも一番人気のモデルがグリーンサブでその中でも2代目の文字盤が緑色でベゼルと同色に合わせられたモデルは特に人気が高い。
要約するとサブマリーナの中で一番人気は2代目グリーンサブということになり、そのモデルが同世代のデイトナの価格を超えているというイレギュラーがレギュラー化しつつあるということである。
2代目 サブマリーナ グリーン Ref.116610LV (2010年 – 2020年)
定価 : 987,800円
5代目 デイトナ Ref.116520 (2000年 – 2016年)
定価 : 1,242,000円
6桁リファレンスになったばかりのそれぞれグリーンサブとデイトナであるが、被っている時期は2010年-2016年というおよそ7年間。
誕生した時期は一周りほど違うが、被っている時期もそれなりに長い。
同じ時代を共に過ごしたロレックスのツートップであるが、基本的にはデイトナの方が上位モデルとして認知されているし、おそらくロレックスもそういう思いであると思う。
そうなると単純に思うのがデイトナの方が同じステンレスなら当然サブマリーナより高額であろうと。
確かにほとんどのケースではそうであるが、今回比較しているモデル同士では、微妙にでは価格の逆転現象が起こっている。
現在の価格はどちらも280万円前後で一番安いモデルが購入可能である。
デイトナで280万円がすごく高額と感じる時代を知っていると僕からすると、この価格帯にも少々違和感を覚えていたがそれももう慣れている。
ステンレスデイトナが500万円、600万円の時代に突入したわけであるから、チャラヘッチャラだ。
しかしサブマリーナの280万円というのはなかなかに不慣れであることは白状しなければならないだろう。
確かにお店が提示する価格が270万円になっていたりすることはあるが、基本的には300万円を超える時代に突入した。
現在、デイトナ Ref.116520の安い個体と同じくサブマリーナ Ref.116610LVの市場での価値が拮抗しているので、今後の動きが期待されるわけであるが、ロレックスはあらゆるモデルの影響が他のシリーズやモデルに影響することもあって、あらゆる要素が複雑に絡み合う戦略ゲームのようで予想がつかない。
サブマリーナの2024年の新作予想を考えてみたわけであるが、新作が発表された後も僕がどんな予想を立てていたのかを改めてみていただけたらと思う。
おそらくはハズレると思う。
しかし、それもまたエンタメとして受け入れてもらえたら幸いである。
話を戻すが、この値動きゲームをみていると人生との共通点を感じないだろうか。
一モデルの行く末は新作などの新しいモデルなどの装備や値上がりした定価によって変わってきたり、過去に人気がなかったものが注目されるようになったりと人間ドラマと類似した様子を見せる。
元々定価の低かったサブマリーナがついには雲の上だと思っていたデイトナをとらえ、今やその人気はデイトを越えようとしている。
決してクロノグラフになろうとはせず、自分は自分なんだとダイバーズウォッチの道を貫く。
時間はかかったが、サブマリーナはサブマリーナの路線で勝負しその中で自分色を見つけて勝負する。
まさに絵に描いたような漫画のような筋書きであるが、抽象的に捉えると全く同じドラマ性が見えてこないだろうか?
人生の何たるかを知るのに奥の細道を旅することは必要ないのかもしれない。
ロレックスから学べる教訓というものがここに沢山存在するのである。
ここではサブマリーナが主役でデイトナが悪役っぽく表現されているが、決してそうではない。
デイトナやサブマリーナに限らず、下位モデルが上位モデルの中古市場を追い抜くという現象が他にも見られるかもしれないということである。
もしくは新品市場でもあり得る。
ミルガウスのように突然シリーズが終了することもあり得、そうなると一気に高騰だ。
カタログ落ちした瞬間すぐに上がる。
ロレックスを投資対象に考えている場合、あらゆる常識を壊して予想しないといけないのだと、僕自身思った次第だ。
まとめ
サブマリーナの中でも一番人気があるのがグリーンサブであるが、そのサブマリーナの人気が凄すぎて、2代目が5代目のデイトナの価格を追い抜きそうであるというお話しである。
これまで格下だと思っていたモデルの人気が凄まじく、希少性も相まってブランドのスーパースターの価値を追い抜こうとしているわけだが、現役時代ではあり得なかった事態であり、ロレックスならではの現象であると言える。
ディスコンになってこのような自体が招かれるのは実際予想出来ない事態に遭遇するという意味でもなかなか面白い。
デイトナもサブマリーナもブランドの中では一番人気のシリーズであるから、サブマリーナのモデル展開次第では価格・人気逆転現象が今後起こってもおかしくないだろうなと思った次第だ。
例えばサブマリーナのアイスブルーなんかが出ればグリーンサブの人気を一気に追い抜くことだろう。
そうなればSSデイトナもうかうかしてられない。
そうなればまた話題が盛り上がって意外性という面からも僕らロレックスファンはエンターテイメントの一環としてワクワクするんだろうなと。