世界三大時計メーカーは?
パテックフィリップ
創業者 : アントニ・パテック、 アドリアン・フィリップ
いつから : 1839年
始まった場所 : スイス/ジュネーヴ
現在の本社 : スイス/ジュネーヴ
代表作 : ノーチラス
パテックフィリップといえば世界三大時計ブランドの中でも一番格式高いとされる時計メーカーで、時計好きが最後に行き着くのがパテックフィリップだという印象である。
あらゆる時計を所有してみたけど、やっぱり最高峰のパテックのシンプルなやつをずっと使っていたい、そんな思いにさせてくれるのが代表作でもあるノーチラスなのである。
もはや普通に買える価格ではなく、1本で車や家が買えてしまう値段にまで高騰しているがそれだけ人気も世界一だということである。
あらゆる有名人やセレブ、世界の政治的、経済的要人がパテックフィリップを着用している確率は高く、世界中どこでもどんな場所でも認められた存在がパテックフィリップなのである。
高級、高額であるにも関わらず、いやらしさを微塵も感じさせないところがまた人気を呼んでいるわけだ。
高級で高価でもジャラジャラとしていると立場上よろしくない場面もあり、反感を買ってしまうような状況にある場合でもTPO選ばず使えるのがパテックフィリップの隠れたメリットでもある。
オーデマピゲ
創業者 : ジュール・オーデマ、 エドワード・オーギュスト・ピゲ
いつから : 1875年
始まった場所 : スイス/ル・シュニ ル・ブラシュ
現在の本社 : スイス/ル・シュニ ル・ブラシュ
代表作 : ロイヤルオーク
そして世界三大時計メーカーの二番手としての呼び声も高いオーデマピゲ。
代表作はやはりロイヤルオークであろうか。
ノーチラスよりも4年早く登場し、2022年にロイヤルオーク誕生50周年を迎えたわけであるが、デザインはノーチラス同様、ご存知天才ジェラルド・ジェンタ氏である。
八角形のケースと、特徴あるブレスリンクが最大の個性であるロイヤルオークは過去に類を見ないほどの人気を誇っている。
腕時計に詳しい方なら、ノーチラスかロイヤルオークか、で好みが分かれるであろう。
個人的にはノーチラスの方が好きではあるが、気分によってはロイヤルオークの角ばった無機質なデザインが良い場合もある。
同じデザイナーでありがながら、両者とも曲線と角をそれぞれ違ったデザインベースを生かしたスタイルに仕上がっていながらどちらも同じデザイナーの仕事であるのがわかるというのが本当に面白い。
マークニューソンなどのデザインなどは腕時計や携帯電話、ボトル、製品のカテゴリの幅を超えて丸みがあるところがその特徴であるが、ジェラルド・ジェンタ氏のデザインの特徴性はそれ以外の部分から見出すことができる。
僕がロイヤルオークかノーチラスか完全に選ぶに選べないのも曲線が好きかエッジが好きかといった大きな枠組みではない部分で、ジェラルド氏の作品が好きだからなのではないかと思う。
ヴァシュロンコンスタンタン
創業者 : ジャン・マルク・ヴァシュロン
いつから : 1755年
始まった場所 : スイス/ジュネーヴ
現在の本社 : スイス/ジュネーヴ
代表作 : オーヴァーシーズ
そして3つ目の世界三大時計ブランドの一つがその特異な、であるが心に響く心地よい音である、ヴァシュロンコンスタンタン。
時計ブランドの多くは創業者の名前がそのブランド名になる。
パテックフィリップもオーデマピゲも二人の名前からとったものであるのに対し、ヴァシュロンコンスタンタンにはコンスタンタンさんの名前が出ていない。
というのも、コンスタンタンという名前はフランソワ・コンスタンタン氏に由来し、創業者の孫であるジャック=バルテルミ・ヴァシュロンの時代に共同経営者として参加したフランソワ・コンスタンタンの名前を合わせヴァシュロン&コンスタンタンとブランド名が改められた。
その後1970年からはヴァシュロン・コンスタンタンと『&』を抜いた社名に変え、今に到るのである。
コンスタンタンの呼び名は、僕らが普段耳にするConstantine(コンスタンティン)のフランス語読みであり、別にコンスタンさんを可愛く呼ぶためにコンスタンたんとしているわけではない。
さて、そんなヴァシュロンコンスタンタンであるが、代表作はやはりオーヴァーシーズであろうか。
現代のラグジュアリースポーツの人気の一端を担う世界のラグスポ時計の代表作の一つでもある。
元メジャーリーガーのイチロー氏がヴァシュロンやポルシェのカレラGTを愛用している/いたことでも有名だ。
前澤友作氏もヴァシュロンの愛用者である。
彼の場合、あらゆる腕時計を持っているのでヴァシュロンのファンというわけではないであろうが、逆に言うと一級品しか所有しないであろうから、ヴァシュロンコンスタンタンが超一流であることがあらゆる芸術品や優れたものを見極める能力に長けた前澤氏から認められているわけである。
パテックフィリップやオーデマピゲほどではないが、多くの著名人が所有する腕時計ブランドであり、世界を代表する3つの時計メーカーの一つである。
ヴァシュロンの代表作はオーヴァーシーズで、最も知られた存在であるが、ヴァシュロンの真髄はコンプリケーションと呼ばれる複雑機構を搭載したモデルや美しい彫金を施した唯一無二の職人によって生み出された腕時計たちの方にあると思っている。
こういった武器をヴァシュロンはたくさん持っている。
三大時計ブランドの中でも最古参であり、世界一古い時計メーカーとも言われている。
歴史があるということはそれだけに時の篩(ふるい)によって生き残ってきたという証明であり、信頼に足る裏付けでもあるのだ。
世界五大時計メーカーは?
ブレゲ
創業者 : アブラアム=ルイ・ブレゲ
いつから : 1775年
始まった場所 : フランス/パリ
現在の本社 : スイス/ラベイ
代表作 : 複数
世界三大時計には入っていないが、世界五大時計ブランドの一つに数えられるブレゲ。
ブレゲといえば、トゥールビヨンであろうか。
複雑機構の中でも一番人気があってその価値が十分に知られていて、そして尊敬を一身に集めるのがトゥールビヨンであるがトゥールビヨンを生み出したのがルイ・ブレゲの創業者なのである。
時計の三大複雑機構はトゥールビヨン、永久カレンダー、ミニッツリピーターであり、実はルイ・ブレゲがその全てを開発しており、時計界のレオナルド・ダ・ヴィンチとも言われているが彼を表現するのに最も適した枕詞なのである。
その他に、機械時計の基礎である自動巻き機構を生み出したのもルイ・ブレゲであるし、スプリットセコンドのクロノグラフや、パラシュート機構と呼ばれる耐衝撃構造を生み出したのも彼である。
ルイ・ブレゲが生み出したあらゆる機能は機械時計全体で使用される機構の7割を占めているとも言われている。
全く大袈裟に表現されている気がしない。
極め付けは『マリー・アントワネット』と呼ばれる超がいくつもつく複雑機構満載の懐中時計で、マリー・アントワネットからの依頼で着手した作品だ。
あまりに複雑すぎて生前に完成させることが出来ず、死後4年後に弟子が完成させたというほどの逸品である。
ガウディのサグラダファミリアを思わせる。
ちなみに、現在45億円ほどの値がついている。
ブレゲの歴史や、ルイ・ブレゲがもたらした機械時計への影響は計り知れないものがあり、彼が2世紀ほど時計の進化を早めたとも言われている。
おそらく本当であろう。
それほどの実力と歴史と美しさを兼ね備えていながら世界三大時計ブランドに入っていないのは釈然としない。
個人的にはブレゲが世界の時計ブランドの頂点に立つと思っていて、
何もない状態でこのような複雑性を帯びた機械を次々と生み出すには天才的な発想と知識・経験、そして数学的な才能、などなど多岐にわたる能力が人のそれより突出していないと為せないわけである。
時計界のレオナルド・ダ・ヴィンチとはよく言ったもので、歴史上最も天才であった一人と称されるダヴィンチと類似する点がいくつもあるのである。
ブレゲはもうちょっと高い評価を得ても良いのではないかと思うのだ。
ちなみにブレゲの代表作というのはこれといって断定できない。
上述したようにブレゲの特徴はその天才的な機構にあって、複雑性にブランドのルイ・ブレゲの真価が込められているのであるからして、括られたシリーズのどれが代表されるかということは選べないのである。
クラシック、タイプXX/XXI、マリーン、現在の現行モデル全てが同等に代表的なのであるからして、ブレゲに関しては逆にデザインのみでチョイスしても良いのである。
世界三大時計メーカーという枠をなくして五大時計メーカーのみにするべきだと思わせるブランドである。
A.ランゲ&ゾーネ
創業者 : フェルディナント・アドルフ・ランゲ
いつから : 1845年
始まった場所 : ドイツ/グラスヒュッテ
現在の本社 : ドイツ/グラスヒュッテ
代表作 : 複数
さて、世界五大時計メーカーの最後のブランドはA.ランゲ&ゾーネであるが、この時計メーカーの作る腕時計の美しいこと美しいこと。
五大時計メーカーの中では群を抜いて美しい。
美しいことこの上ない。
同じく美しい腕時計として有名なIWCとも深い関わりがあり、1960年代にはIWCと協力体制をしいて時計を製造していたわけであるが69年から起こるクオーツショックにてその構造も崩れていった。
クオーツショックであらゆる時計ブランドが下火になり、中には完全に姿を消したマニュファクチュールもいくつも存在するわけだが、東ドイツにあった同ブランドは時計業界の情勢、経済的情勢、戦争を理由とした国際的な政治情勢を理由にあらゆる憂き目に遭いながらも五つの偉大な時計メーカーの仲間入りを果たしている。
途中ブランドの終わりや復興を経験した珍しいメーカーであり、僕はA.ランゲ&ゾーネが現在存在していることにどれほど感謝しているかわからない、それほどこの時計ブランドが好きなのである。
先ほども述べたが、A.ランゲ&ゾーネはIWCとも協力関係にあったこともあってか美しい腕時計を制作するという点で、デザイン性も含めて共通点がみられる。
ヒュメダイヤルでも有名なH.モーザーがIWCと深い関わりがあることも有名で、A.ランゲ&ゾーネ、IWC、H.モーザーの3社が非常に美しい腕時計を生み出すのには共通の哲学で繋がっているからなのかもしれない。
さて、A.ランゲ&ゾーネの代表作も複数としているが、このブランドも代表作という代表作が存在するわけではなく、7種のシリーズを丁寧に且つ美しくゴールド素材のみで制作しているという印象である。
A.ランゲ&ゾーネの創業者アドルフ・ランゲを初代と数えて4代目にあたるウォルター・ランゲの死後、決してステンレス時計を作らなかった同ブランドがウォルター・ランゲに最大の敬意を評したステンレススチールの『1815 ウォルター・ランゲ Ref.297.078』を一本だけ制作しました。
1815 ウォルター・ランゲ Ref.297.078
2018年にオークションにかけられた同モデルはおよそ86万スイスフランで落札され、当時の為替でおよそ9000万円ほどの値がつけられましたが今後何倍にも価値が高騰していくでしょう。
ウォルター・ランゲへの最大の賛辞を表現として同モデルを一本だけ制作したわけですが、その観点からいうと、A.ランゲ&ゾーネを代表するシリーズを強いて挙げるなら1815なのかなということも出来る。
ブランドを通して満遍に美しく、満遍に素晴らしい機械を載せたA.ランゲ&ゾーネもまた世界三大時計ブランドに入っていないことが悔やまれる存在である。
正直上記のどのブランドも素晴らしい時計メーカーであり、3つだけ選べというのは酷な話である。
まとめ
既にまとめてしまったようなものであるが、どのブランドも歴史、技術力、デザイン性、カリスマ性、全てが素晴らしく、それぞれブランドの特徴や格別得意とする分野があるものの、総合的にレーダーチャートと呼ばれる五角形、六角形のグラフを全て満点で埋めるようなブランドばかりである。
文字通りどのメーカーも世界があらゆる面で信頼に足ると太鼓判を押したブランドであり、ブラインドバイ(目を瞑って買うものを選ぶという意味)しても問題ないというお墨付きである。
みなさんはどのブランドに惚れ、どのように歴史、デザイン性、技術という中身のクオリティ、をそれぞれ評価するだろうか。