- 左利き用?右腕用?
- ロレックス
- IWC
- パネライ
- ルミノール マリーナ レフトハンド 44mm Ref.PAM00022
- ルミノール マリーナ レフトハンド 44mm Ref.PAM00026
- ルミノール パワーリザーブ 44mm Ref.PAM00123
- ルミノール ベース レフトハンド 44mm Ref.PAM00219
- ルミノール 1950 レフトハンド 8デイズ チタニオ 47mm Ref.PAM00368
- ルミノール マリーナ 1950 レフトハンド 3デイズ アッチャイオ 47mm Ref.PAM00557
- ルミノール サブマーシブル 1950 レフトハンド 3デイズ 47mm Ref.PAM00569
- ルミノール レフトハンド 8デイズ 44mm Ref.PAM00796
- ルミノール レフトハンド 47mm Ref.PAM01075
- Sinn ジン
- タグホイヤー
- ベル&ロス
- チューダー
- グラハム
- まとめ
左利き用?右腕用?
左利き用の腕時計はレフトハンドと言われることが多いが、装着するのは右腕である。
それは左利きだからレフトハンドというんじゃないの?と思われるだろうが確かにそうだ。
それは正しい。
しかし僕のようにストレートに言ってくれた方が助かるタイプにとっては右腕用といった説明の方がわかりやすい。
この言い方の方が良いという理由は他にもある。
それは左利きでも左に腕時計をする人が大勢いるし、もっと多いのが右利きで右腕に腕時計をするパターンである。
一番多いのは右利きで左腕に着用するパターンであり、一番少ないと予想されるのが、左利きで右腕に着用するパターンだ。
そもそも左利きの人口が少ないからである。
日本では左利きの割合は全体の10%にも満たない数値であり、両利きが2%ほどだ。
合わせて12%ほどが左側を上手に使えるそうなのだが、右利きに比べて1/7以下という少数派である。
世界ではどうだろう?
ドイツの左利きの人口は全体のおよそ10-15%ほどの割合で、結構多い。
アメリカはもっと多そうだと予想したが、逆に2.1%ほどとかなり少ない。
その代わりアメリカでは両利きが28%も存在するらしく、非常に器用な国民性というか遺伝子を国全体で持っているということになる。
メジャーリーグでスイッチヒッターや右投げ左打ちといった、投げる側と打つ側の利きが逆になっているパターンが多く見受けられるのもそういった理由からなのである。
しかしヨーロッパでの水準は平均するとドイツとあまり変わりなく日本より若干多めということになるが、それでもマイノリティである。
そういった理由からもやはり腕時計の文化というのは右利きの人、つまり装着時にリューズを右手で回せるように設計されているモデルが多いのである。
左利きで腕時計を右腕の着用しながらリューズの操作をするという器用な人もいらっしゃるが、腕のねじれ具合がなんともジョジョ立ちと共通する不思議なかっこよさを醸し出しているのではないだろうかと想像する。
であるからして、右腕用の腕時計というのは少ないのが現状であるし、左腕用と同等とまではいかなくてももっと沢山バリエーションが欲しいものである。
数少ない印象の右腕用の腕時計であるが実際少ない。
しかしパネライのように盛んに左利き用、右腕用として腕時計を沢山リリースしてくれる良心的なメーカーも存在するし、最近ではロレックスでさえ右腕用の腕時計の需要を無視出来ないと感じているようだ。
そういったわけであるから、今回は右腕用の腕時計をいくつか紹介したいと思う。
ロレックス GMTマスターII レフティ スプライト Ref.126720VTNR
IWC ビッグパイロットウォッチ ”ライト・ハンダー” Ref.IW501012
IWC ビッグパイロットウォッチ ”ライト・ハンダー” Ref.IW501012の一覧、価格、在庫などの最新情報はこちら>>
パネライ ルミノール レフトハンド 一覧
Sinn ジン 157.EZM4
Sinn ジン 603.EZM3
Sinn ジン 703.EZM3F
タグホイヤー モナコ クロノグラフ キャリバー11
ベル&ロス アヴィエーション BR01 オートマティック レフトハンド ヨーロッパ限定 Ref.BR01-92
ベル&ロス アヴィエーション BR01 オートマティック レフトハンド ヨーロッパ限定 Ref.BR01-92の一覧、価格、在庫などの最新情報はこちら>>
チューダー ぺラゴス LHD Ref.25610TNL
グラハム クロノファイター全般
ロレックス
GMTマスターII レフティ スプライト Ref.126720VTNR
2022年に発表されたばかりのロレックスが生み出す最初の左利き用の腕時計がこれ。
新作発表でこのモデルの存在を知った人は大変驚いたに違いない。
僕は腰を抜かしそうになった。
お硬いロレックスが、と思ったが逆にロレックスだからこういったことに敏感なのだろうとも思ったのである。
ロレックスの信条というかブランド哲学というのは常にユーザーファーストな視点を持っているということである。
世界一を誇る精度や耐磁性、防水性や視認性、装着感、耐久性全てがユーザーのために極めた結果なのだが、あらゆる点で完璧主義的であるため、冷徹なイメージを持たれやすい面もあったりする。
しかしそれは誤解である。
ロレックスは確かに完璧主義で、腕時計に対して絶対に妥協しないばかりか必要以上に過酷なノルマや高いハードルを自身に課すほどストイックである。
それゆえにユーザーファーストな目線を持っているのであり、その視点から生まれる腕時計というのは常にユーザビリティを考えた結果なのである。
であるからして、ロレックスから左利き用の腕時計が202年までに登場しなかったは実は意外なことであるとも言えるのだ。
世間の良識に非常に敏感な優良企業とも言えるだろう。
ロレックスはこれまで以上に人を考えた素晴らしい腕時計や活動を行なっていくに違いないのである。
IWC
ビッグパイロットウォッチ ”ライト・ハンダー” Ref.IW501012
ケースサイズ46ミリという巨大な腕時計ビッグパイロット。
その名の通りかなりでかい。
パネライでは標準値に近いがロレックスでは最大の44ミリというサイズを超える46ミリというのは本当に迫力がある腕時計でメルセデスAMGのF1チームのスポンサーになっているIWCであるが、ルイスハミルトンがパイロットウォッチを着用しているのを見ると大きくてかっこいいなと思ったものである。
パネライには47ミリというサイズもあって、46ミリというサイズ感はあまり驚くに値するものではないかもしれない。
しかし綺麗な腕時計を全面的に推すIWCにとってはやはり46ミリというサイズはかなり大きいのである。
この腕時計がそれ単体ではあまり大きく見えないのはオニオンリューズがあるからだろう。
相対的にケースが小さめであると感覚的に感じるのかもしれないが、実際はケースが46ミリでリューズがめちゃでかいのである。
そんなモデルを左利き用として発表したわけであるが、実際このモデルはリューズのサイズ的に右利きの人が左腕にするのが実用的なのではないかと思う。
リューズを回しやすくするために腕時計は利き手側にリューズが設置されるのであるが、実際このモデルは7デイズのパワーリザーブが搭載されている。
時間にして168時間という長い間稼働し続けるモンスターウォッチなのであるが、であるからしてリューズを巻く必要がないのであれば手の甲にとっては邪魔な存在になりうるしそれよりもぶつけるなどの衝撃が怖かったりする。
であるとするとこういった腕時計は左腕に着用するのが一番良いと思われる。
赤西仁さんも実はルミノールの左利き用レフトハンドを左腕に着用してリューズガードが邪魔にならないようにしていたりする。
そういった意味でこの手のタイプは左腕に着用するのが実用的であると言えるが、IWCはきちんと右腕用と明記している。
「ライトハンダー」とモデル名にもなっており、右腕に装着することを想定したタイプなのであるが、実際はもはや手で巻く必要も時刻合わせもほぼする必要がないのでどちらに着用しても良いと言える。
しかし冒頭でもお話しした通り、ライトハンダーと右腕用と記述するのは正しいやり方であると思うし、これから右腕用の腕時計はレフトハンドといった左利き用という固定観念的な言い方ではなく、きちんと右腕の装着する「右腕用」といったいった感じに呼ばれるようになる予感がしている。
いずれにせよ、良い時計であることには変わりはない。
この存在感とオニオンリューズがインパクトがあってかっこいい。
パネライ
ルミノール マリーナ レフトハンド 44mm Ref.PAM00022
ルミノール マリーナ レフトハンド 44mm Ref.PAM00026
ルミノール パワーリザーブ 44mm Ref.PAM00123
ルミノール ベース レフトハンド 44mm Ref.PAM00219
ルミノール 1950 レフトハンド 8デイズ チタニオ 47mm Ref.PAM00368
ルミノール マリーナ 1950 レフトハンド 3デイズ アッチャイオ 47mm Ref.PAM00557
ルミノール サブマーシブル 1950 レフトハンド 3デイズ 47mm Ref.PAM00569
ルミノール レフトハンド 8デイズ 44mm Ref.PAM00796
ルミノール レフトハンド 47mm Ref.PAM01075
冒頭でもお伝えしたように、パネライにはレフトハンドモデルが非常にたくさん存在しているのだ。
左利きモデルがパネライにはたくさんあるとは思っていたが、僕もここまでたくさんあるとは思っていなかった。
前回もお話しモデルのPAM01075であるが、バリエーションも増やしているようで、割と本気でレフトハンドモデルをデザインしているようなのである。
そのうちドゥエという薄型でもラジオミールでもレフトハンドモデルが登場するのではないかと思う。
サブマーシブルなどの特殊なシリーズでもレフトハンドは存在するので、ドゥエやラジオミールなどで発表されるのも時間の問題だろう。
Sinn ジン
157.EZM4
603.EZM3
703.EZM3F
ジンはドイツが産んだパ特殊な時計専用のブランドである。
創業者のヘルムート・ジン氏自身がパイロットであったという経緯からこのような時計が生まれているのであるが、中には5000メートルの防水性を誇るダイバーズウォッチなども存在していて、知名度の割りに実用性がめちゃくちゃ高いのである。
ドイツの警察特殊部隊、つまりGSG9などに向けて作られているため、実力は半端なくすごい。
例えば5000メートルの防水性を誇る腕時計であるが、ロレックスのディープシーが3900メートルであるから、Sinnの方が防水性が高い腕時計を作る技術を持っていることになる。
その技術というのがハイドロシステムと呼ばれるものである。
防水性を高めるためには水圧に耐えうる強固な腕時計を作らなければならない。
しかしSinnの防水性はケース内に特殊なオイルを入れることによって完成する。
この特殊オイルがもたら二つの効果が5000メートルの防水性を実現するわけであるが、一つは内側からの圧力と外側からの圧力が均衡化する点である。
外部圧を内側から押し返すのがこの特殊な液体の役割であり、ケースの破損やダメージなども防ぐのである。
そしてもう一つが、ガラスと同じ屈折率を持つ液体であるため、どの角度から見ても反射などによって文字盤が見れないということが起こらなくなるのが二つ目のメリットなのだ。
深く潜れば潜るほど外圧の影響を多大に受けるため、通常腕時計はダイバーズウォッチになればケースを巨大にゴツくしなければならなかった。
ハイドロシステムが可能としたことは、高い防水性や視認性のみならず、ケースサイズを小さく薄くしても大丈夫であるという点だ。
あらゆる点でメリットが大きい素晴らし問題解決のアプローチであると言える。
そんなSinnが生み出す特殊な時計にも左利き用モデルがいくつか存在する。
警察特殊部隊であれば、潜水や飛行での特殊な状況下での使用を想定される場面も多いであろう。
そういった意味でもSinnが生み出す右腕用の腕時計は単なるパフォーマンスではないのである。
タグホイヤー
モナコ クロノグラフ キャリバー11 スティーブ・マックイーン Ref.CAW211P.FC6356
モナコ クロノグラフ キャリバー11 Ref.CAW211S.FC6375
タグホイヤーの左利きモデルといえばやはりモナコであろう。
タグホイヤーがまだホイヤーだった時代から存在する名機で、1969年に世界で初めてのクロノグラフムーブメントを載せた四角い時計として発表された。
1969年といえばゼニスが世界初のクロノグラフウォッチを発表した年であるから、ホイヤーのモナコはその後ということになる。
1969年はアポロ11号が月面着陸を果たし、世界はクオーツショックで時計メーカーが軒並み潰れた。
日本のGDPが当時の西ドイツのそれを上回ったのも1969年であるしクオーツショックとも直接的間接的、相関的にも関係があるのだろう。
さて、モナコに関してたが、
ホイヤーとブライトリングなどが共同で開発していたクロノグラフムーブメントCal.11はそのムーブメントの機構上リューズが左側についていたのであるが、これは左利き用ではなく当時の技術ではこのようにしなくてはいけなかったのである。
であるからしてCal.11を搭載した腕時計はブライトリングクロノマチック、ハミルトンクロノマチックなどリューズが左、スタートストップ・リセットなどのプッシュボタンが右側という面白いレイアウトをしているが、これこそがクロノグラフのもう一つの元祖なのである。
であるからして、タグホイヤーのモナコにレフトハンドモデルがあるということになっているように見えるが、実際はリューズは左利き用、プッシャーは右利き用ということなのだ。
それでもリューズが左側にあると右腕に装着するには便利であるし、プッシャーが反対側にあるのは問題にならない、つまり左利き用みたいなものなのだ。
重要なのはリューズの位置である。
ベル&ロス
アヴィエーション BR01 オートマティック レフトハンド ヨーロッパ限定 Ref.BR01-92
ベル&ロスの腕時計にもヨーロッパ限定という制限があるが、左利き用のものが存在する。
真っ黒い四角いケースに白いインデックスと針という視認性の高いモノクロウォッチであるが、これはなかなかにオシャレである。
世界限定50本しか生産されず、その上ヨーロッパ限定という制限もあって、日本で手に入れるには難しいであろうモデルだ。
この黒いところがまた良いが、カーボンパウダーをステンレスケースの表面に塗膜加工しているが、質感はマットで温かみがある感じである。
白い針やインデックスとのコントラストもすごくおしゃれで目をひく仕様である。
チューダー
ぺラゴス LHD Ref.25610TNL
ロレックスの姉妹ブランドと呼ばれるチューダーであるが、その所以は創業者が同じだからである。
ロレックス誕生の21年後にハンス・ウィルスドルフによって創業された別ブランドで、今ではハンス・ウィルスドルフ財団によって所有されている。
そんなチューダーがロレックスよりも一足早く左利きモデルを投入してきたわけだが、ロレックスはチューダーである意味テストを行っているのかもしれない。
チューダーで良かった点を改良してロレックスに投入、チューダーで出して受けが悪かったらロレックスでは採用しないといった市場テストをしていても何ら不思議ではないし、あらゆる企業を傘下に持つリシュモングループやLVMHなども市場の感触を掴んでいるのかもしれない。
詳しいことはなんとも言えないが、もしそうであるならば、左利きモデルというのは受けが良いということである。
ロレックスのような完璧主義的企業が変なものを出すわけがなく、あらゆるスイスメーカーが左利きの腕時計を製造し市場に投入していることを考えるとやはり右腕につける腕時計というのはそれだけで一歩抜きに出ることができるのではないだろうか。
チタンケースで作られた42ミリというモデル。
ロレックスの常識からは逸脱したスペックを持っているが、この辺りロレックスと完全なる棲み分けが出来ていると言える。
しかし共通点もある。
高額化しているということだ。
ロレックスの遺伝子を持つチューダーであるから、ロレックスの価値向上はチューダーのそれを意味する。
現在のチューダーの価格帯もひと昔のロレックスのそれを後追いしている形であり、今度は同様に価格が上昇していくことが予想される。
2018年に再上陸を果たしたチューダーであるが、やはりその動きには需要という裏付けがあってのことだろう。
できるだけ早く入手しておいた方が良いのはロレックスのみならずチューダーも同じということだろうか。
グラハム
クロノファイター全般
クロノファイターもまた左利きモデルであるが、あまり存在は知られていない。
世界で初めてストップウォッチ機構を開発したのがジョージグラハムであるが、その発明の特許は取得せずあらゆる人に使わせるというオープンソースにした知的で聡明で善良な人間が彼である。
あまり腕時計としての知名度はこれまでに獲得してこなかったが、知っている人は知っているという特徴的なトリガープッシャーがなんといってもこの時計ブランド最大の視覚的武器である。
ハマる人はハマり、普通にハマりそうになってしまうほど癖になるデザインだが、パネライユーザーにはウケが良いのではないだろうか。
ガリレオで福山雅治さんが着用していることが確認されているが、その特徴ある井戸ポンプの取手のようなトリガーは非常に目立つ存在である。
まとめ
探してみると意外と左利き用の腕時計はさくさん存在するようであるが、全体的に何かある特徴に気付かれたのではないだろうか。
そう、大体の使用用途や目的が特殊な環境下での作業が想定されているということである。
潜水での作業、飛行中での作業、またはそれに準ずる場面を想定したダイバーズウォッチ、アビエーターズウォッチ(パイロットウォッチ)などである。
こういった特殊な作業をすることが多くはないにしても必ず必要であることが予想される場合、左利き右利きを隔てることは損失であり、不策であると言える。
実際パネライに左利きモデルが多い理由も元を辿れば海軍の潜水活動を想定した腕時計を製造していたわけであるし、Sinnがドイツの警察特殊部隊に向けた腕時計を作っているメーカーであることからも左利きの腕時計が企業規模に対して多いのである。
Sinnの正式な企業名はジン特殊時計会社であり、その名前が物語っている。
IWCのビッグパイロットやグラハムのクロノファイターもパイロットがグローブをしたまま操作がしやすいようにとリューズやトリガープッシャーが巨大になっているわけであるが、これも特殊な状況下での用途である。
ベル&ロスはブランドコンセプトが既にパイロットウォッチであ李、チューダーの「ぺラゴス LHD Ref.25610TNL」は防水性500メートルのダイバーズウォッチである。
説明が不要であるが、最初にあげたロレックスの「GMTマスターII レフティ スプライト Ref.126720VTNR」も空の腕時計である。
そう、現在左利き用の腕時計が出始めているとはいってもまだまだ、特殊な用途用の腕時計にのみ採用されているという点で発展する余地が十分すぎるほどにあるということだ。
であるとすると次なるサプライズは、そう、ドレスウォッチのレフトハンドを発表することであるが、それをどこよりも先に行うのはどのブランドだろうかという点でまた興味が湧いてくるように思わないだろうか。
ここで鍵となるのはドレスウォッチにも使用できる左リューズのムーブメントがあるかどうかということだ。
そういった面で言うと期待すべきはロレックスかIWCかといったところだろう。